低身長症
低⾝⻑症について
「子どものはそれぞれ個性があり、身長や体格も違います。しかし「周囲と比べて極端に身長が低い」とお悩みの方は、もしかすると低身長かもしれません。
背が低いというだけで病気ということではありませんが、中には成長ホルモンの異常などで身長が伸びないケースもあります。お悩みの際には一度クリニックへご相談いただくことをおすすめします。
低⾝⻑とは?
同じ性別、同じ年齢の子100人を小さい順に並ばせたとき、小さい方から2-3番目までが低身長と定義されています(-2SD以下)。
現在は低身長でなくても、身長の伸び方が悪くなっている場合にも注意が必要です。
原因・症状について
低身長の原因は、多岐にわたります。
皆さんが感じられている通り、ご両親が小さければお子さんも小柄なことが多く、実際、低身長の7割程度は、体質的なもので治療を要することはありません。
しかし、残りの3割は成長ホルモンや甲状腺ホルモンの異常、低出生体重に関連するもの、染色体異常や低栄養など、医学的な対応が必要なものが含まれます。
まずはその原因を確認し、治療が必要であるかをしっかり判断していきます。治療のタイミング・⽬安
治療方法は低身長の原因により異なります。
しかし、治療が必要な病気が判明したとしても、身長が止まる時期に入っていれば、そこから身長を伸ばすことはできません。
低身長が疑われる場合、まずは気づいた時点で受診して頂き、低身長の原因を確認しておくことが重要です。診断や治療は、早いに越したことはありません。
受診する際のお願い
身長や体格の診察をする際には、成長曲線を作成する必要があります。
正確な情報を得るためにも、受診の際には必ず母子手帳、保育所・幼稚園・小学校・中学校・高校での成長の記録、両親やご兄弟、姉妹の現在の身長の記録をご持参いただきますようお願いいたします。
※手元に記録が残っていない場合、学校の保健室の先生にお願いすれば記録をもらえます。
思春期と成⻑曲線
将来どれくらいの身長になるかは、思春期に入った時の身長で、だいたい決まります。
お子さまの思春期の開始を正確に判断するには、正確な成長曲線が必要となりますので、受診の際には身長の記録の持参にご協力ください。
低⾝⻑の検査について
どのような要因で低身長となっているかを判断するためには、血液検査で肝機能や腎機能をはじめとした健康状態をチェックしたり、甲状腺ホルモンや成長ホルモン、性ホルモン分泌の程度を確認したりと、さまざまな検査が必要です。
さらに、骨年齢を調べることで身長の伸びのポテンシャルを確認します。
成⻑ホルモン分泌負荷試験
当院では外来にて成長ホルモン分泌刺激試験を行っています。
成長ホルモンを分泌させる薬を使用して、どこまで成長ホルモンが分泌されるかを確認していく検査です。
一般的な検査や診察の結果、必要と判断された場合に本検査をご案内いたします。
成長ホルモン治療について
成長ホルモン治療が必要と診断された場合、当院にて成長ホルモン治療を行っています。(保険診療)
対象疾患については、適宜ご相談ください。
よくある質問
身長を伸ばすためにできることはありますか?
成長に影響する主な要因は、子ども自身がもつ遺伝的要素やホルモンの分泌などですが、生活習慣としての食事(栄養)・睡眠・運動もまた成長に大きく影響します。
栄養状態が悪いと成長が悪くなることは、実感されると思います。
特に幼児期までの栄養は、成長にとって最も重要な要因です。何を食べたら大きくなるというものはありませんが、蛋白質、カルシウム、亜鉛などに注意してバランスのよい食事を心がけましょう。
睡眠時間は極端に短いと、やはり成長に影響します。成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されていますので、十分な睡眠時間、良質な睡眠が必要です。
しかし、明け方には成長ホルモン分泌は低下しますので、寝坊をして長く寝ることはお勧めしません。
運動は、それ自体で成長を促すわけではありませんが、運動することで食欲も増し、心身ともに健康を保つことができます。
しかし過剰な運動は、疲れて食事も摂れなくなり、成長の妨げになることがあります。
完璧な生活習慣を実践したとしても、本来もつ成長の能力を超えて大きくなることは期待できませんが、悪い生活習慣で成長に悪影響が及ぶことがないようにしましょう。
身長を伸ばす効果があるというサプリメントを使用したほうがいいですか?
様々な効果をうたったサプリメントが出回っていますが、医学的根拠はほとんどなく、サプリメントで身長を伸ばすことは期待できません。
効果が確定していないからサプリメントであり、治療薬ではないのです。